Rewrite:困難な時代における個人の価値

 
 
Quoraの4年前の自分の回答が大変青臭いことを言っていたのでRewrite。
 
風が吹けば桶屋が儲かる。この先10年を見越して、今していることはありますか?また、すべきことは何だと思いますか?
 
(回答)
自分なりに、意志や人生の目的を持ち、作り手となることだと思います。 人から聞いた話であったり、自分なりに思うことを根拠にして回答させていただきます。
 
大昔は、知識>技能>意思という順で重要性が高かったとおもいます。現代はその順番が反対になったと思います。
 
すごく大雑把な話をします。 古くは科挙(古代中国の官僚選抜試験)であったり、現代で言えば、ひと昔前の受験勉強=詰め込み教育であったり、知識を覚えることは意義がありました。誰しもが知識にアクセスすることが容易ではない時代だから、知識を覚えることそのものは個人の価値に直結したのだと思います。
 
そして次に、印刷やデータベース、検索エンジンの発展など、知識へのアクセスが容易になり、情報が膨大になっていくにつれて、知識を持つことそのものの価値が下がり、相対的に、知識を使いこなす技能・技術の重要性が高まりました。 たくさんありすぎる情報を全て覚えるよりも、情報を取捨選択したり、特定の情報を使いこなす技能の価値が高まるわけですね。
 
最後に、技能・技術についての情報が容易に誰でもアクセスできるようになったり、習得しやすくなったり、回避する方法が発達すると、何のためにその技能、技術、知識を使うのか?という、意思の重要性が高まるはずです。 具体例をあげると、以下みたいな感じでしょうか。 〇〇を暗記している→Googleで検索すれば5秒で出てくるのに暗記する必要性はあるの? プログラミングができるんだ、英語ができるんだ、絵を描くのが上手いんだ→人を雇えば?機械学習で自動化すれば?そもそもなぜそうしたいの? といったように。
 
例えば車を運転するのが得意なだけの運転手は、自動運転が本格化すれば職を失うかもしれません。英語が堪能なだけの訳者は、自動翻訳が完璧に発達すれば職を失うかもしれません。 でも、お客さんと話すことが好きで、少しでも楽しい時間を提供したいと考える運転手であれば、たとえタクシー、バスやUberで稼げなくなったとしても、コメディアンや別の接客業で自分の仕事を見つけるでしょう。人と人を繋げることに人生の意味を見つけている訳者であれば、翻訳以外にも仕事が見つかるでしょう。両者とも、新しい仕事の方が、もっとうまくいくかもしれません。
 
これは、なにも、特定の専門職や、技能職に限った話ではないのです。例えば、日本では受験戦争を勝ち抜いた非常に優秀だとされる医者も例外ではありません。なんと、一部の診断では、機械の方が優秀な結果が出ています。(参考文献載せなくてすみません、!)
 
AIがベテラン医師よりも高精度に脳スキャン画像から脳腫瘍を診断することに成功
by Institut Douglas 近年のAI技術の発達には目を見張るものがあり、「人間はAIに仕事を奪われてしまうのではないか? 」という危機感を持つ人も少なくありません。そんな中、「中国で行われた病気の画像診断コンテストで、AIがベテランの医師たちよりも高い精度で正しく病気を診断した」ということが話題になっています。 China Focus: AI beats human doctors in neuroimaging recognition contest - Xinhua | English.news.cn http://www.xinhuanet.com/english/2018-06/30/c_137292451.htm 2018年6月30日、北京で「 脳腫瘍と脳内の 血腫拡大を患者の画像から予測する」というコンテストが行われました。その結果、 北京天壇病院の神経障害AI研究センターと 中国首都医科大学の研究チームが合同で開発した、「 BioMind」と呼ばれるAIの画像診断システムがベテラン医師たちに勝利してしまいました。 第1ラウンドで行われた脳腫瘍の画像診断において、225例の画像から15人のベテラン医師は66%の精度で脳腫瘍を診断したとのこと。ところが、BioMindはわずか15分の間に、ベテラン医師らの精度をはるかに上回る87%もの精度で脳腫瘍を診断することができました。また、脳内の血腫拡大の予測についても、中国の有名病院から集められたベテラン医師らの63%という診断精度を上回る、83%の精度をBioMindはマークしたそうです。 北京天壇病院の放射線科主任のGao Peiyi医師は、AIの画像認識精度は優秀なベテラン医師を上回るものであり、通常の病院の診断精度よりはるかに正確だとしています。BioMindの開発にあたっては、北京天壇病院が過去10年にわたって収集した数万もの症例画像を教育データに利用しており、 髄膜腫や 神経膠腫といった症例についても90%の割合で診断することが可能とのこと。 by Nathanael Burton 北京天壇病院の副院長であるWang Yongjun氏は、「今回のコンテストは、医師らがAIなどの最新技術を医療に役立てて、医療技術を改善することができると周知するために開催しました。そのため、AIに負けたからといって、コンテストに参加した医師らが自信を失う必要はまったくありません」と述べました。 また、脳内の血腫拡大を診断する第2ラウンドに参加したLin Yi博士は、「AIは私たちの脅威ではなく、『友人』です。AIは医師の仕事の負荷を軽減するだけでなく、医師の技術向上にも役立つものです」と語り、医療におけるAIの有用性が認識できたとしています。 コンテストの審査員として参加した 中国科学院のBian Xiuwu氏は、進行中の疾患を診断するに際しての絶対的な答えは存在せず、AIは診断結果を与える医師の「助手」としてのみ機能すると語ります。同じくコンテストの審査員として招待された 欧州放射線学会のPaul Parizel 博士も、「AIは医師に替わるものではなく、たとえばカーナビのGPSシステムが車のドライバーにとってもたらす機能のように、診断の際に医師を導くツールです」と主張しました。 by Yuya Tamai 世界保健機関(WHO)の中国代表であるGauden Galea 博士は、「AIは医療界にとって非常にエキサイティングなツールですが、依然として初期段階にあります」と述べました。一方でGalea博士は、中国の人口の多さとアクセス可能な医療データ数の豊富さは、中国の医療AI開発にとって大きな強みになるとも考えています。 ・関連記事 人工知能で光学顕微鏡の映像からリアルタイムでガンを検出する技術をGoogleが開発 - GIGAZINE ネコを愛するあまり顔認識技術搭載のネコ専用監視装置を作った猛者が登場 - GIGAZINE 高精度の顔認識システムで絶滅の危機に瀕する霊長類を保護する取り組み - GIGAZINE CIAはスパイ活動の一部をAIに置き換えることを視野に入れている - GIGAZINE AI産業の拡大は「AIナショナリズム」の発展を促すのか? - GIGAZINE in ソフトウェア, サイエンス, Posted by log1h_ik You can read the machine translated English article here .
 
そしてたとえ、機械で代替できない知的生産性の高い労働であったとしても、海外で同一の労働をあなたよりも安い価格で引き受けてくれる人がいれば、あなたはいらないかもしれません。 でも、「あなたがあなたの意思をもって生み出すもの」は「あなた」しかつくりだすことができないはずです。
 
プログラミングができる人はたくさんいるかもしれませんが、プログラミングを使って解決したい課題の内容は、人によって全く違います。海外の言葉を訳せたり、話せたりする人はたくさんいますが、日本をアピールする、物語をつくる、など、人によってやりたいことは違うはずです。
 
技能や知識そのものの価値は、下がっていくかもしれませんが、だからこそ、技能や知識を使ってなにを為すのか、創り出すのか、という意志の価値はむしろあがっていくはずです。 だから、意志をもつようにすることが変化の激しい=発展が高速化する現代において大事だと思います。そして、なんとなく出てきた意味づけの弱い意志ではなく、人生の目的と言えるような、意志をもつことができれば、いうことがないと思います。
 
回答者:Tsuneyoshi Hatakeyama 横浜国立大学で数学 (大学専攻科目)の学士を取得
回答日:2019/01/25