悪戦苦闘のタスク管理

 
 

0 / はじめに

たった4年程度の社会人経験でタスク管理という深淵なテーマを書くのもどうかと思うのですが、タスク管理に関する個人的な現状のベストプラクティスについてまとめます。
 
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ベンチャー企業で事業責任者を2年近くやっており、『業務システムのないタスク管理』『恐ろしく多忙な中でのタスク管理』に非常に悩まされ、足掻いた4年間だったので、どこかで足掻くスタートアップソルジャーをはじめとした新社会人に役立てれば幸いです。
 
なお、わりと網羅的にしようとした結果、1万字を超える記事になってしまったので要約を読まれたい方は『3-4 / まとめ』をクリックしてください。
 
また、記事をシェアしてもらえると大変励みになります。
 
ご意見やご感想、質問反論などはTwitterのDMかtn.hatakeyama@gmail.comまで。
 
目次

0-1 / タスクの難易度とタスク管理の難易度は異なる

実行するタスク内容が『正しく』かつ、実行者本人にとって『適切な難易度』であることが保証されているのであれば、問題は『それらをいかに納期通りに漏れなく処理できるか』で成果が確定する『はず』です。
 
理論上、実行者本人のキャパシティ・ケイパビリティであれば『納期通り漏れなく処理』するのはなんの問題もないように思いますが、現実的にはそうではないケースをたびたび見かけ、また、自分自身も経験しています。
 
ポイントは、1つ1つのタスクは容易であろうとも、それらが絡み合い、納期や優先度、順序関係、また、組織との関係性や実行者本人のコミュニケーション能力、ツールと業務の相性等の条件が揃うことで、難易度が上がるということです。
 

0-2 / 記事のスコープ

この記事では『タスクの難易度に対して実力が追いついていない』や『どのようにすればうまくタスクに対処できるのか』といったテーマは扱いません。
 
あくまで『管理の仕方』に絞り、『個別のタスクに関しては処理できる能力をもつ』という前提のもと、『並行させてミスなく対処するための管理方法』に関しての文章となります。
 
なお、管理する上で、一部タスクの内容に言及せざるを得ない部分もあります。厳密に境界をひくことはできませんが、その点に関してはご容赦ください。
 
前半では、タスク管理における失敗のパターンを列挙し、それらの問題点を分析した上で、後半では、どのように管理すべきかをまとめていきます。

0-3 / 想定している読者

新卒1~2年目の社会人を想定しています。特に、業務の中で『CRM / SFM』『プロジェクト管理ツール』等のシステムが組み込まれていない『非』定型業務に従事する方を想定しています。(新規事業立ち上げ、バックオフィス系業務、企画職 等)
 
理由として、企業サイズが大きくなり、業務が定型化するにつれて、タスク管理の精度はシステムにより保証されるようになり、従業員個人の管理の巧拙の要求レベルが減少すると考えているからです。
 
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逆に、タスクが組織内のシステムできちんと管理されているのに、それらを個人で別立てで管理しようとすると、更新・同期作業が発生するため、二度手間がおきます。逆説的ですが、『自分の手で管理しなくてもよいタスクは管理しない』こともタスク管理をする上で重要と言えます。
 
話を戻すと、事業の立ち上げフェーズであったり、業務を定型化できなかったりする場合、うまくタスク管理できるかどうかは、タスクそのものを実行できるスキルと同じくらい重要なスキルであると考えています。この文章が1つの参考になれば幸いです。
 

1 / 悪戦苦闘のタスク管理

1-1 / 典型的な失敗パターン

タスクを『不適切に管理』することによって引き起こされることはさまざまありますが、まとめると次の一言に集約されると思います。
 
すなわち
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適切なタイミングで完了されるべきタスクが完了できない。
ということです。
 
繰り返しになりますが、実行が容易なタスクであっても上記の問題が発生しるとしたら、原因は一体どんなことなのでしょうか。タスクの発生から処理までのフローを踏まえましょう。
 
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タスク管理の流れ 1.発生・記録 2.変容 3.優先度の決定 4.実行
 

1-1-1 / 発生・記録

  • 発生したタスクを関知したにも関わらず、記録し忘れたり、記録内容を間違えたりする
    • そもそも記録する場所がない
    • 多忙によって、記録するアクションを実行できない
    • タスク依頼者とのミスコミュニケーションにより、認識の齟齬が生まれたまま記録する
 
  • タスクの発生をそもそも関知することに失敗する(知らない間にタスクができてしまう)
    • タスクの依頼者が実行者に指示できていると思っているが、実はできていなかった
      • ex1:メンションのないチャットでのタスク依頼
      • ex2:迷惑メールに入ってしまったり、あるいは誤って内容を見ずにアーカイブしたりしたタスク依頼メール
      • ex3:長文によって、タスク依頼箇所の文章を見逃していた
      • ex4:電話で話した結果、お互いの認識に齟齬が生まれてしまう
 

1-1-2 / 変容

  • 前提条件やタスクの納期、内容が変化することによるトラブル
    • タスク管理の更新が漏れてしまい、当初の条件のままタスクが保管されてしまう
    • 所与の条件が変更されることで、そもそも達成不可能なタスクに変化してしまう
 

1-1-3 / 優先度の決定

  • いま実行しなければ達成不可能なタスクの存在を見過ごす
    • 納期アラートの未発生
  • いま実行しなければ達成不可能なタスクの存在を認知しているにも関わらず、先延ばしをしてしまう
    • 実行者本人の精神的な問題:ただただやりたくない、というもの
      • 見通しの問題1:やらなくてはいけないことが多すぎる時に、処理可能か不透明なタスク(成果が出るか明らかではないタスク)を先延ばししたくなる
      • 見通しの問題2:複合的なタスクが含まれるプロジェクトレベルのものを、誤って1つのタスクとして管理してしまい、どれから手をつけていいかわからず、結果何も着手できない
    • 実行者本人のキャパシティの問題:全てのタスクの優先度が『いますぐ』になってしまい、適切に実行できない。どれからやっていいのか判断不可能なレベルにまでタスクの量が増え、優先度を決定できなくなる
  • 緊急かつ重要で処理不可能なタスクが突発的に生まれてしまい、本来決めていた優先度通りにタスクを処理できない
 

1-1-4 / 実行

  • 実行に際して、タスクの内容を誤認識していたことが発覚する
    • 順序関係の誤認識:タスクAを処理するには前もってタスクBを処理する必要があるのに、タスクBを見逃していた
    • 見通しの問題:実際に着手すると、想定していた以上に大きな時間がかかり、納期通りに完了できない
 

1-2 / 万能の特効薬は存在しない

タスク管理の仕方は業務や組織に応じて、都度、チューニングし続ける必要があると感じています。
 
同じ会社・同じ部署の人であっても、業務の内容・フェーズ、タスクに対する要求水準が異なります。さらに言えば、業務を取り掛かるその人自身と同じ能力・経験値を持つ人はこの世界に1人しかいないと言っていいでしょう。
 
マルチタスクが得意な人にとって『1-1-1』〜『1-1-5』で書かれているようなミスは起き得ないと感じていることかもしれません。
 
でもそんな人でさえ、たとえば、組織サイズや業務フローが変わる、部下が増える、取引先が変わる、業務量が増えるなど、所与の条件が変わったとしても、果たして、これまでと全く同じように一度もミスなく炎上とは無縁でいられるでしょうか。
 
大切なことは、変化していく環境・業務・組織に応じて、自らの管理方法をチューニングし続け、他ならぬ『今の』自分にとってのベストを模索し続けることだと感じます。
 

2 / タスク管理におけるイシュー

2-0 / イシューは何か

書き出していったトラブル・前提となる事象の因果関係を紐解くと、下記の4つ程度に課題が収斂されるように思われます。それぞれ紐解いて行きましょう。
 

  1. 発生時または変更時に素早くタスク内容を記録・更新ができ、納期のアラートを出せる場所・ツールを持つこと
  1. 実行できない『量』(≠質)のタスクを受け持ってはいけないこと
  1. タスクを受け取ったタイミングで、アクション内容と納期を明確にすること:特に、複合的なタスクであれば、個別のタスクへと分解し、不確実性を減らすこと。
  1. 決して先延ばしをしないこと
 

2-1 / ツールに必要な機能

 
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発生時または変更時に素早くタスク内容を記録・更新ができ、納期のアラートを出せる場所・ツールを持つこと
 
タスク管理ツールに関して言及し始めると、宗教戦争が起きそうなくらい、こだわりがある方が多いです。
 
よって、この節では、『最低限この情報は管理したほうがいい』・といったことや、『タスク管理ツールにはこの機能があるととても便利です』といったことをまとめていきます。
 

2-1-1 / 究極の管理は『管理する必要がないこと』

いきなりちゃぶ台ひっくり返すようですが、すぐできる仕事(目安としては、1-10分以内)に関しては管理せずに、その場でいますぐ実行することが大事です。
 
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例)お店・飛行機・ホテルの予約、xxxさんへの電話、一言で済むチャットやメールの返信 など。
 
悲しいことに、todoリストに書き込む時間や、todoリストのステータスを変更する時間は、何も価値を産まない時間です。リストに書き込むことが重要なのではありません。下記を意識してみるといいでしょう。
 
  1. すぐに実行してしまうこと:そもそもtodoリスト書き込まなくても済むこと
  1. (上級者レベル)そもそも実行しなくても良いタスクではないかと疑い、必要に応じて、しなくてよい、と組織 / パートナー / クライアントにコミュニケーションがとれること
 

2-1-2 / 記録すべきこと

記録すべきこととしては、下記が考えられます。上と被りますが、注意点としては、正確に記録しようとするあまり、タスクの記録疲れ・更新疲れを起こさないようにすることです。
 
ある程度雑でもいいので、記録・更新できることのほうが、律儀にやった結果更新が途絶えてしまうより、よっぽどマシと言えます。
 
#記録すべき内容おすすめ度備考
1納期いつまでにやるのかを必ず把握する
2タスクのゴールできれば、完了基準やタスクの目的を依頼者と合意する
3実行日自分のスケジュールを確保するため
4完了までの時間自分のスケジュールを確保するため
 

2-1-3 / あれば良い機能

 
基本的に上記を記録できるという前提のもと、『今日やること一覧』『締め切り順の並び替え』ができれば良いと思います。
 
#記録すべき内容おすすめ度備考
1納期の記入アラートと並び替えができるのが望ましい
2子タスク追加機能できれば、子タスクにも納期/実行日が記入できるとなおいい
3実行日の記入アラートと並び替えができるのが望ましい
4モバイルとデスクトップの同期スマホでも仕事ができるため
 

2-2 / 組織やパートナー、顧客とのコミュニケーション

 
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実行できない『量』(≠質)のタスクを受け持ってはいけないこと
 
タスク管理の目的は『より多くのタスクを自分自身が実行できるようになること』ではなく、『成果や質を担保した上で、必要な量のタスクを実行できるようになること』だと考えています。
 
したがって、たとえば稼働時間が10時間しかなく、タスク量が見込みで11時間もあるなら、最低でも1時間分のタスクについては、『なんとかする』必要があります。下記のようなアクションが考えられます。
 
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補足:本来的にタスクは成果を出すために行うものであり、時間単位で考えるのは望ましくないですが、簡単のため、時間量で例えています。
#記録すべき内容おすすめ備考
1そもそもやらなくてもいいタスクかどうか前提を疑うできることなら、すべてのタスクに対して同じ態度であることが望ましい
2タスクを断る関係性や事業の状況によっては取れない可能性がある
3タスクの条件変更を打診する伝え方『やらせていただきますが、納期をxx/xx or 取り組み方をyyyにすることは可能でしょうか』
4自分以外のリソースを使えないか考える依頼者との関係性や事業、組織リソースの状況によっては取れない可能性がある
5全てのタスクに対して、納期変更や取り組み方を変更できないか考える逼迫度合いによっては難しい
6稼働時間を増やす最終手段として考える
 
1〜5のアクションを取ることは状況によっては難しく、結果として『6.稼働時間を増やす』を選択するケースが多いと思います。なぜでしょうか。それは1〜5のアクションの前提には、
 
  • 現在自分自身が受け持っている全てのタスクの残稼働量と納期
  • 今後の自分の稼働量
  • たった今打診されているタスクの完了までに必要な稼働量
 
を把握できているという前提があります。
また、仮にこれらをうまく把握できていたとしても、『長時間稼働することによるタスク完了効率の逓減』『予期せぬタスク発生による必要稼働量の急増』があり、上記を考慮した上で、『バッファタイム』(*突発的なタスクに備える時間)を持つ必要があります。
 
簡単でもいいので、自分の稼働量と現状受け持つタスクの完了までの時間量を把握することで、即座に『納期通りにはできないので、変えてもいいでしょうか』と伝える必要があります。
 
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補足:仕事を断ることは、リスクをはらみます。 新人のときや、新人ではなくとも、会社の命運をかけた極めて大事な商談など、『全てを投げ打ってでもタスクをもらう必要があるとき』というタイミングがあります。たとえば、組織によっては『新人のくせに仕事を選り好みをするような態度をとりやがって』となり、仕事が来なくなる可能性もあります。 僕自身、とにかく無理をしても、忙殺されてでも仕事をもらうことで糧にしてきた経験もあるので、どんな場合でも断ればいい、とは口が裂けても言えません。 しかし、そのような時でさえ『このまま行くと完遂できないのかどうか』は常に頭にいれて行動し、必要に応じて次の手を打たなくてはいけません。 また、本当にどうしようもなくなったときは、関係各所にすぐさまタスクの遅延に関する連絡をする必要があります。(そんなことが起きないようにGet things doneでやり切るしかないのですが・・・)そういった意味でも、見込み量の把握は必要です。
 

2-3 / 不確実性を減らすには

 
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タスクを受け取ったタイミングで、アクション内容と納期を明確にすること:特に、複合的なタスクであれば、個別のタスクへと分解し、不確実性を減らすこと。
 
簡単な例として、『上司と取引先の打ち合わせの日程調整・準備をする』というタスクを考えてみましょう。
 
下記がポイントです。
  1. 進め方を描き、関係者と握る
  1. 関係者の有無を考え、タイミングを早くする
 

2-3-1 / 進め方を描き、関係者と握る

 
先ほど例に挙げた『上司と取引先の打ち合わせの日程調整・準備をする』というタスクですが、タスクとしては1つになりますが、ステップとしては下記のようになります。
 
  1. 打ち合わせ形態や目的を確認する(Web / オフライン・商談 / 会食・ゴール 等)
  1. 上司の日程候補を取得する
  1. 先方に打診する
  1. 先方から返事をもらう
  1. (必要に応じて)場所を抑える・Web会議用のURLを発行する・資料を作成する 等
  1. 関係各所やカレンダーに、打ち合わせ情報を共有する
  1. (必要に応じて)リマインドを実行する
 
現在ではSpirやCalendlyなど、日程調整ツールがたくさん出ているので、もう少し楽かもしれませんが、概ねこのような流れとなるでしょう。ポイントは下記2点です。
 
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複数の子タスクに分割する: 自分が見通しを持てるレベルで子タスクに分割し、おおよその流れが把握できれば、今後の自分の忙しさがおおよそわかるようになります。 漠然としたタスクではなく、アクションレベルで具体性を持たせることで、着手までのハードルが下がるというメリットもあります。
 
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タスクの依頼者に対して『進め方の確認』をもらう: 稼働量が増えてしまう主要因の1つとして『手戻り』があります。 『進め方の確認』すなわち『タスクの要件定義』を細かくすることで、『本当はこれやってほしかったんだけど』『これじゃダメだからやりなおし』といった無駄を防ぐことができます。 *これはこれで1つのテーマになるくらい大きなことなのですが、文章が長いので割愛します・・・!
 

2-3-2 / 関係者の有無を考え、タイミングを早くする

 
『5.(必要に応じて)場所を抑える・Web会議用のURLを発行する・資料を作成する 等』と考えてみましょう。
 
  1. 金曜に行われる会食用のお店を予約する場合、『木曜に予約する』よりも、『月曜に予約する』ほうが『明日は予約いっぱいですね』とお店から予約を断られる可能性が低くなります。
  1. 会議で使う資料は、事前に資料の概要を先に上司に見せておき、確認が取れてから着手したほうが(進め方を握ったほうが)手戻りは少なそうです。ただし、上司は忙しいので、早めに見せないと、いつ返事をもらえるか分かりません。
  1. 会議室を抑えておく場合、直前だと埋まっているかもしれません。
 
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例に挙げた通り、タスクにはタイミングを早くするだけで、難易度・稼働量が著しく下がる(その逆もまた然り)種類のものがあります。 ポイントはタイミング重視のタスクであれば、できる限りすぐにでも実施すべき、ということです。タイミングを早くすることで、タスクの不確実性は下がります。
 
では、『タイミングを早くすべきタスク』とはどのようなタスクでしょうか?
それこそが、『関係者の有無』です。
 
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タスクには、大きく『関係者と協働するタスク』と『自分自身で完結するタスク』があります。
 
比較関係者と協働するタスク自分自身で完結するタスク
見通し立ちにくい立ちやすい
不確実性
ステップ長い傾向短い傾向
サプライヤーへの発注、日程調整、協働プロジェクト、商談、役所での手続きネットリサーチ、Webで完結する申し込み、経費精算、商談資料作り
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まとめ:『タスク依頼者からの要件』をできる限り正確なものとしつつ、自分自身ではコントロールしきれない『関係者』が関わるタスクに対しては、『アクションのタイミングをできる限り早くする』ことで、タスクのもつ不確実性を減らしていくことが重要となります。
 

2-4 / 先延ばし癖に向き合う

 
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決して先延ばしをしないこと
 
突然ですが、先延ばし、されたことあります?僕はかなり悩まされたので、いろんな本を読みました。『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』という大変魅力的なタイトルの本がありまして、詳細部分の説明はそちらに委ねますが、モチベーションを下記の数式により表しています。
 
 
簡単に言えば、課題に取り組むことで手に入れられるものへの【期待】や【価値】が大きければ、先延ばしにせずすぐに取り掛かります。
 
反対に、期限が遠かったり、見返りを手にするまでの時間が長ければ(つまり【遅ければ】)、行動を開始するまでの期間が長くなる傾向があるのだそうです。
 
また、先延ばしのタイプにも実は3種類あって・・・と続くのですが、非常に長いので、詳細が気になる方はぜひ本を読んでください。
 
自分自身がどの程度誘惑に強いのか、によりますが、『自分のモチベーションが低いのはなんてダメなんだ』と思わずにこれらの数式に基づいて『取り組み方を変えればうまくいく』と考え直しましょう。
 
数奇の分母をできる限り小さくし、分子をできる限り大きくすることが重要です。すなわち:
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タスクを細かく分割し、1つ1つのタスクの所要時間をできる限り減らしていく
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タスクの目的や意義、価値を1つ1つきちんと考え、理解する
No more先延ばし!他にもたくさんtipsがあるので、ぜひ読んでください!
 

3 / ベストプラクティス

3-1 / 現状把握:業務に紐づくタスクの発生源と特性を理解する

 
タスクは、基本的に誰かから依頼をうけて発生します。したがって、メールや電話、チャット、社内システムなど、業務に関わる様々なコミュニケーションの場 / ツールからタスクが発生します。
 
このうち、電話や打ち合わせなど、タスクの内容が口頭で伝達されるものは認識の齟齬が発生しやすいので、他と比べても特に気をつけて取り組む必要があります。できれば、コミュニケーションをされた直後に内容を文面等で確定させたほうがいいでしょう。
 
また、どのようなツールであるにせよ、確定されたタスクを貯める場所が必要となります。
 

3-2 / 分類:真に管理すべきものを把握する

 
管理は、社内システムと個人で二重管理することはなるべくなら避けるようにしましょう。個人のタスクを吐き出すことができる機能をもつ社内システムであれば、行動の逐一で社内システムに記録していき、個人ではタスク管理しないことが望ましいです。
 
逆にそうした書き込み場所がないのであれば、自分で決めたタスク管理システムにどんどん記録・更新していきましょう。
 

3-3 / 決定:行動パターンをあらかじめ決める

 
発生した時、および、スタックして進捗が出づらくなったとき、定型化してきたとき、それぞれで、タスクに対する自らの行動パターンを決めておくことで、もれなく処理することができるようになります。
 
▼発生源別行動パターン:例
#発生源:例行動パターン:例
1電話電話が終わったら、メールかSMSでタスク内容を送り、同じ内容でタスク管理リストに入れる。認識の齟齬がない旨の返事をもらう
2メールタスクをもらったら、リストに入れる。タスクを処理したらメールをアーカイブし、常に受信箱が空になるようにする。
3チャット通知が来たら、スクリーンショットを撮り、後の時間でまとめてタスクリストに入れる。処理できたらスクリーンショットを削除する。1分で返信できるものはその場で処理する。
4会議・打ち合わせ打ち合わせが終わればすかさず議事録を送り、タスクゴールの確認をしつつ、タスクリストに入れる。
5業務システム逐一システム内に記録する。必ず記入し、絶対に個人のタスク管理に入れない。
 
▼スタック別行動パターン:例
#ケース:例行動パターン:例
1見通しが不透明なタスクがあり、なんとなく先延ばしにしているスタックに気づいたその日のうちに必ず着手する。タスクを可能な限り細かく分解して、とにかく少しでもいいから実行する。
2いつまで経っても日程調整で返事がもらえない先方がいつになら返事が出せるのかを握る。そもそもにぎれなさそうならアプローチを変える。
3メンバーが期日を守れないメンバーに与えられたタスクを一緒に細かく分割する。期日を時刻レベルで決めて、社内カレンダーに招待する。
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ネクストアクションを決める: あるタスクに対して、『次xxxをする』(これを『ネクストアクション』と呼ぶことにします)が決まっていることが大事です。ネクストアクション未定のタスクは関係者から催促されない限り放置されるため、知らない間に炎上を引き起こす可能性をはらみます。
 
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アプローチを変える: 特に『関係者と協働するタスク』の場合、関係者によるタスク未達で進捗させられない事象が発生し得ます。同じアプローチをしても無駄なので、『関係者が実行できない要因』を1つ1つ取りのぞく必要があります。 1.強制力がないと動けない人:上司・同僚など、関係者の関係者を巻き込む 2.どう進めたらいいのかわからない人:子タスクにしていく 3.期日がないと動けない人:期日を決める など、対応の仕方は様々あり得ますが、都度工夫することが必要です。
 

3-4 / まとめ

たくさん文章を読んでくださり、ありがとうございました。
 
上記のまとめが下記となります。いかがでしょうか。参考になれば幸いです。
 
感想や意見、批判、反論などあればtn.hatakeyama@gmail.comまでください。
 

  1. すぐできる仕事(目安としては、1-10分以内)に関しては管理せずに、その場でいますぐ実行する
    1. できれば、全てのタスクに対して、そもそも実行しなくても良いタスクではないかと疑い、必要に応じて、しなくてよい、と組織 / パートナー / クライアントにコミュニケーションがとれること
  1. 発生時または変更時に素早くタスク内容を記録・更新ができ、納期のアラートを出せる場所・ツールを持つ
  1. 実行できない『量』(≠質)のタスクを受け持たない
    1. そのために『現在自分自身が受け持っている全てのタスクの残稼働量と納期』『今後の自分の稼働量』『たった今打診されているタスクの完了までに必要な稼働量』を大まかに把握すること
    2. 上記を踏まえた上で、そもそもやらなくてもいいタスクかどうか前提を疑う、タスクを断る、タスクの条件変更を打診する、自分以外のリソースを使えないか考える、全てのタスクに対して、納期変更や取り組み方を変更できないか考える、稼働時間を増やすといったアクションを取る
  1. タスクを受け取ったタイミングで、アクション内容と納期を明確にすること:特に、複合的なタスクであれば、個別のタスクへと分解し、不確実性を減らす
    1. 進め方を描き、関係者と握る
    2. 関係者の有無を考え、タイミングを早くする
  1. 決して先延ばしをしない
    1. タスクを細かく分割し、1つ1つのタスクの所要時間をできる限り減らしていく
    2. タスクの目的や意義、価値を1つ1つきちんと考え、理解する
  1. 1〜5が自分の業務できちんと実行できるように、自分のタスクの発生源や特性を整理し、各タスクに対する自分の行動パターンをあらかじめ決め、ネクストアクション未定を避ける。
  1. スタックしている案件に関しては、アプローチ方法を都度変えていく。
 

4 / Appendix

4-1 / 実際に使っているタスク管理ツール

 
#ツール名備考・コメント
1Google todoGoogleWorkspaceを使っていたり、メールを頻繁に使用される方であれば、特におすすめ。エディタ画面が狭いことが個人的には嫌いでしたが、簡単なタスク管理であればこれがおすすめです。
2ThingsMac / iPhoneユーザーでしか使えないのが難点ですが、サブスクリプション型ではなく、買い切りモデルなので、課金を気にせずつかえることと、管理するタグが豊富なので、こだわりすぎなければ非常におすすめです。
3AsanaThingsに切り替えてからは全然つかっていないですが、個人タスク管理の範囲内だと無料でかなり豊富に機能を使えるので、大変便利です。チームで協働することも視野に入れられるのであれば、おすすめです。

4-2 / 参考書籍

  • 仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版
  • ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか
  • エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング
  • 内定者への手紙 ー「仕事が遅い人」と呼ばれないための、10のチェックリスト
  • これからの会社員の教科書 社内外のあらゆる人から今すぐ評価されるプロの仕事マインド71